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2022年3月17日 (木)

田川紀久雄詩語り日記

末期ガンにありがとうということは、誰も末期ガンになってありがとうという人などいない。言えるのは末期ガンを生き残ってものしか言えない。生き残ったことで見えてくる世界がある。詩人はそのことにありがとうと言っているのだ。人明かりをもとめて詩語りを行いたいという気持ちが見えた。私の場合は、末期ガンが完治していない時でもガンが消えてゆくことが予感できた。そのことに対しても、末期ガンにたいしてありがとうと言えた。経験が新しい世界を生み出させてくれる。なぜここまで詩語りを続けてこれたかもこの末期ガン体験があるからだ。芸術家にとって一番大切なことは。苦しみぬく体験である。誰もできない体験することによって生きる自信が持てる。亡くなった人から見れば末期ガンありがとうなどというのはよくない。経験というものはあくまで個人的な問題だからあえて末期ガンありがとうということで、この絶望的な世界を乗り越えられたといえる。末期ガンの経験の書物はない。「生命への旅」という三部作の詩集ぐらいだ。それを詩語りでCD化してゆきたい。どのような困難に陥っても希望を失わないで生きることが必要である。そのことが今の時代でいいたい。

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