田川紀久雄日記
いま作家でも印税で食べられる人はほとんどいないという。それは本の流通のあり方に問題があるからだ。名の知らない本など書店に置いてもだれも手に取る人がいない。すぐ返品されてしまう。詩などはまず書店に置いてもらえない。売れなければ一週間で返品だ。いま個人の本屋さんは経営が成り立たない。街をあるいていでも個人の本屋さんなど見ない。欲しい本はインターネットで手に入れる人が増えている。芥川賞や直木賞を取ってからといって安心などできない。次作が売れなければ、原稿依頼もなくなる。厳しい世の中である。文化そのものが衰退して行く。質の良い本よりまずは売れなければ話にならない。売れることが善であって売れなければ悪になる。変な世の中である。これが資本主義の実態でもある。
今の人達は魂を掘り下げるのが苦手である。いや魂という言葉を聴いただけで逃げてしまうのではないか。それに自分で価値判断が出来ない人が多い。絵を見ても詩を読んでも何を基準にしてよいのか解らない。素直な気持ちで自分に問うことがない。ただ「わからない」という言葉ですべてを決め付けてしまう。存在そのものが薄っぺらな人間になっている。ただただ経済に踊らされている。安倍政権をこのような人達で支持率が上がっているのだろう。
人は相手の幸せを願う心が失ったらお終いだ。詩人はひたすら詩を書くことだ。それも魂を掘り下げていくことである。無名であることに誇りを持って生きていたい。
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