田川紀久雄日記
岐阜のNさんから電話がきた。Nさんは心を病んでいてつらい生活を送っている。心の病はなかなか治るものではない。時間をかけてゆっくりと治療していくいがいにはない。まっずはあせらないことが大切である。それと周囲の温かい眼差しが必要でもある。私の『慈悲』という本を送ってのお礼で電話をくれたのである。欝のときは人と話すのが良い。話すことでいくらかは心が癒される。とりとめのない話でも良い。問題は聴き手がそれを受け入れてやることが求められる。現代ではみんなが忙しいのでなかなか人の話を聞くことがない。心の病は最初は小さなところから起こるものだ。心に病を起こす人はみんな真面目である。真面目だからこそ人一倍心も傷がつきやすい。大島渚の奥さんの小山さんも鬱病で何度も死を考えたことがあるという。鬱病はほんとうにつらい病なのである。これは社会全体で取り組んでいかないとなかなか直らない。その苦しみの重荷を少しでも肩代わりできるい仕組みが必要なのである。詩や語りで、その重荷をいくらかでも緩和することができるといいなと思う。私はそう思って詩の世界を格闘している。
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