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2012年8月24日 (金)

田川紀久雄日記

NHKで市川猿之助四代目の放送を観たが、歌舞伎は確かに面白い。中車は、まだまだ歌舞伎になっていない。経験を積んでいくしかない。肩に力が入りすぎている。猿之助は踊りが上手い。これからどんどん伸びていける。とても楽しみだ。それに対して詩の朗読はなさけない。人に負けまいという競争意識が希薄だ。どれだけ一日に稽古の時間を割いているのだろう。ライブを行なうにはテキストは百回以上読み込む必要がある。何人がこれをクリアしている詩人がいるのだろうか。まずはひたすら聲をあげるしかない。汗水を流してこそ、人に聴いてもらえる聲ができるのだ。
橋本さんは文楽に対してあまりにも厳しい。大阪フィルもそうだが予算をどんどん削ってしまう。もう少し文化に対して温かい思いやりを求めたい。どんなにもがいても利益に繋がらないものもある。でもその文化があることによってその国の豊かさが図れるのではなかろうか。
詩の世界はすべて個人の持ち出しで詩歌の世界が守られている。それは少数の人間かもしれないが、人間にとって必要だからこそ維持されている。一行の言葉によって人は救われることもある。詩はいのちの音なのだ。そのことを忘れないでもらいたい。

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