田川紀久雄日記
詩集を上梓することは普通の生活者にとっては、大変なことである。まず生活を切りつめていかねばならない。そして強烈な思いが吹き上げてこなくてはならない。人に読んでもらいたいという願いをこめて送る。しかし、送っても十人足らずしか返信が返ってこない。今はこのことに慣れてしまった。私も、いただいた詩集に対してお礼状すら書かないことが多い。送るのは勝手なことである。それに対して何かを期待する方が間違っている。何も期待しないことが心の安定にも良い。生きることは期待を望んではならない。ただ自分の仕事を一つひとつこなしていくことである。どんなことにもくじけない精神こそが求められている。こんどのライブも何人来てくれるか解らない。来場者のことよりも、ライブに対してテキストをどれだけ読み込んだかが大切なことである。自分の存在の質を高めていくことがライブの目的なのだからあまり気にしないことだ。
高畑耕治さんの詩集『愛のうたの絵ほん』が届いた。これで彼の全部の詩集が揃った。『愛』の詩集は、生き物の姿を通して瑞々しい世界を描いている。今私達はこのような純粋な愛の物語を失っている。現代詩人の中でもこのような美しい作品を書ける詩人は少ない。出来れは高畑耕治さんが多くの人に向かって朗読をして行くことが、新しい世界を産み出していけるのではなかろうか。彼に会える日が楽しみにしている。
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