田川紀久雄日記
午前中に病院に行く。
坂井のぶこさんの給与が七万五千円である。生活が厳しいが、『嶺』の仕事が入ったので三月はなんとかやっていけそうだ。毎月綱渡りの生活である。人から見れば面白く見えるだろう。日本の未来も昨日の朝の濃霧と同じだ。国民全体が不安にかられていると思う。
だから生きて行くための力になれる詩を書きたい。嫌なことを忘れて心に歓びを与えたい。「歓喜の歌」を書いたシラーではないが、魂の歌を求めてゆきたいものだ。ベートーヴェンの交響曲第九番のように苦悩から歓喜への世界を心の中で求めたい。青年時代に読んだ『ジャン・クリストフ』をもう一度読んでみたい。多くの小説から生きる糧を得てきたのに、最近ではほとんど小説を読まなくなってしまった。それは眼の衰えもある。いや心が衰えてきているのかもしれない。
新保哲夫さんから操車場の原稿が入った。亀岡新一さんについてである。もうすぐ一周忌になるという。命日は四月三日享年六十九である。出来れば彼の詩の語りを行ないたいものだ。せめていつもの公園でここしばらく亀岡新一さんの詩を聲にだして語ってゆきたい。亀岡新一さんのことをもっと知りたい。
« 田川紀久雄日記 | トップページ | 田川紀久雄日記 »
コメント