田川紀久雄日記
箱根登山電車で箱根に行く。紅葉を見に行きたいからだ。今私の心を癒してくれるのは自然の美しさだ。むかしの人たちは風流をこよなく愛したものだ。都会生活になれてしまうと、この風流を愛するゆとりがなくなる。都会の自然は殆どが人工的に作られている。「里山」提唱者の四手井綱英さんが九十七歳で亡くなった。葛城山系のブナ林保全で活躍したひとだ。松之山の美人林に行ったことが、ブナの林は心が落ち着く。お金があったら田舎暮らしをしたいものだ。私は一本のブナの木になりたいものだ。人間という生き物はつねに何かに怯えて生きている。これは人間の頭脳が不安を煽っているからだ。知識では人間の心の病は救えない。知識をつければつけるほど人生の虚しさが募るばかりだ。自然を失っている都会生活にとって人の心はますます貧弱になっていっている。
昨夜モーツァルトのピアノ協奏曲二十番を聴いた。彼は底なしの孤独感を音楽という土俵で遊んでいる。この歳になってやっとモーツァルトの音楽が解るようになってきた。音楽の素晴らしさは知識では得られない心の安らぎを与えてくれる。
街路樹の公孫樹の木の葉を切り落としている。掃除をするのが大変だからだ。これから公孫樹の葉が美しくなるというのになさけないことだ。人間にとっての合理化は不自然な生き方なのである。生きていられる間はあなたともっと自然を見つめて生きたいものだ。
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