田川紀久雄日記
芸術家は生温い世の中に生きていると、反抗精神を失ってゆくばかりだ。芸術家にはどこか狂気がなければ時代を抜けた作品は生まれてこない。その中で美を見出すには、貧乏、病気などに耐えている人の中から次の時代に繋がるものが生まれてくる可能性が強い。
本来詩人が今の時代は先頭にたって行動をおこさなければならないのに、詩の世界からは何も生まれてくる気配がない。詩のことばに叫びが感じられない。『詩と思想』の最近号を読んでいてもこれはという作品で出会えない。
玉川信明セレクションを読んでいる。大正時代生きたひとたちの群像は興味が湧いてくる。決して遠い次代ではない。私が青年のころまで生きていた人たちがいる。大正時代に生まれた人も今でも生きている人がいる。それなのに、何故か遠くに感じられてしまう。
亀岡新一さんの生き方は、まさに大正時代の自由をもとめて生きてきた人たちに近いところがある。『新一路のんきぶし』はとても興味深い作品である。一人でも多くの詩人に読んでいただきたいものだ。漉林書房から『亀岡新一詩集』本体2000円で発売している。彼の作品は誰も真似のできないものだ。まさに彼固有の世界なのである。これは坂井信夫さんの力によってできた。それと坂井信夫さんは画家・島村洋二郎論『眼の光』が島村直子さんとの共著が土曜美術出版販売から発売されている。島村洋二郎はもっと多くの人たちに見てもらいたい画家の一人である。
最近のコメント