書く行為には、楽しむ行為と、心を癒す行為がある。そのほかにもあるがこの二つは書く行為の大きな特徴といえる。誰の為に書くというより以前に、まず自分自身のために書く行為が先行している。その先に、誰かに読んでもらいたい、そして書く行為を通じて、人に何かを伝えたいという欲求が生まれてくる。詩誌に参加するということは、自己のために書く行為を越えて、人に読んでもらいたいという連帯意識が生まれてくるものだ。だからこそ、合評会などが行われる。厳しい批判があって、そこから次の段階が生まれる。そのような経験を経て詩集の刊行が生まれる。しかし、私の場合、他の詩誌に参加したこともない。「漉林」「操車場」は合評会など一度も行ったことがない。それは地域的な詩誌ではないからだ。ある意味での投稿詩方の詩誌である。だからこそ、いい加減な作品は掲載しないことにしている。詩誌に載せるということは、作品が一人歩きを始める場所でもある。そこにはもう作家の自己弁護など介入しない。作品の持つ生命だけが、人の心を掴んでいく世界である。だからこそ詩誌への発表はわくわくする。操車場は月刊詩誌である。毎月わくわくできる。癌の治療にとっても精神的に良い。楽しく生きるそのことが癌の免疫を高めるからである。そして仲間のいい作品にであったときの歓びもある。心をつねに活性化できる。
それと同時に私は詩語りに取り組んで生きている。声を出すことは身体にとても良い。まず複式呼吸で声を出す。人に聴いてもらいたいという歓びの気持ちが生まれる。人とひとが直接に結び合える場所である。癌患者は人との触れ合いが大切である。部屋に閉じこもっているより、時たま外に出て人との触れ合いを持つことも大切な治療の一つである。今のところ詩語りの現場が私にとって唯一の人との触れ合いの場である。
来週の21日にはストライプハウスギャラリーで詩語りを行う。ストライプハウスギャラリの詩語りはこれで最後になるかもしれない。というのは三月からこの場では出来なくなりそうなのだ。塚原さんお身体の調子のことを考えると無理ができないからである。この場は詩の朗読では伝説を生んできた場所でもある。最初に行ったのが吉原幸子さんである。それ以後いろんな詩人たちが行ってきた。『生命の旅』の出版記念ライブを行う。この時は楽器を使わず、肉声のみで行う。いまから楽しみにしている。楽しく生きることが今の私にとって一番大切なことなのである。一人でも多くのお客が来てくれればなおさら心が楽しくなる。癌を楽しみに変えていく行き方をもとめて行きたい。そのことによって癌患者が一人でも生きる意味をつかめてくれれば幸いである。
入場料 予約 大人2,500円 学生1,500円(学生証呈示)
当日 大人2,800円 学生1,800円 (学生証呈示)
*予約は直接、ギャラリーか田川紀久雄へお電話かFaxでお申し込み下さい。
ストライプハウスギャラリー(六本木) 〒106-0032東京都港区六本木5-10-33
Tel 03-3405-8108 Fax 03-3403-6354
田川紀久雄 〒210-0852 川崎区鋼管通3-7-8 2F
℡044-366-4658
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